みなさんは星が動いている、つまり見る時刻や季節が異なると見える星も異なるということをご存知なのではないでしょうか。小学校で習いましたよね??
また、よくこんな写真(下)を見て「ああ、星って動いてるんやなあ」とかって思ったりすると思います。
しかし、実際にどうして星が動いていて、どのように動いているのかということを知ってる人は少ないのではないのでしょうか。
今回はゼロからわかる天体観測、第2回として星の動き方について解説していきたいと思います。
それではまず、星の動きには2種類あると理解してください。(他にもありますが)
一つ目は「日周運動」、
二つ目は「年周運動」です。
まずは「日周運動」についてです。
日周運動とは先ほどの写真のように、ある夜の空をずっと眺めていると星がなんだかある一点(そこには星があります)を中心にしてぐるっと回って見えるような運動のことです。
(ちなみに、先ほどのような写真はカメラのシャッターを長時間ひらきっぱなしにすることで撮影することができます。シャッターをひらきっぱなしにすることで、色んな時刻の星の光を焼いてるんですね。)
ではその「ある一点」とは何なのでしょうか。実はこれが「北極星」と呼ばれるものです。「ポラリス」なんて呼ばれたりもします。聞いたことがあるのではないでしょうか。
全ての星がこの北極星の周りを回ってるなんて、「世界は俺を中心にして回ってるんだああ!!」と言わんばかりの自己中キャラ、もとい、王様キャラです。
ではなぜ全ての星が北極星を中心にして回ってるなんて事態が起こっているのでしょうか。その秘密は日周運動の「日周」、北極星の「北極」というネーミング部分に隠されています。
北極星と聞いて「知ってるぞ!いつも北にある星だ!!」と思った方もいるのではないでしょうか。そうなんです、実は北極星はいつも北にあります。
でもそもそも「北」っていったいどんなものだったでしょうか。
それを理解するためにこんな物語をちょっと考えてみてください。
Aさん、Bさん、Cさんはいつも一緒にいる仲良しトリオ。ところがある日、第二次世界大戦が起きて3人はバラバラにされてしまいました。Aさんは日本、Bさんはアメリカ、Cさんはロシアに連れていかれ、お互いにどこに連れて行かれたか、また連絡先も知りません。
でも大丈夫です。こんな緊急事態に備えて3人はある約束をしていました。それは「もしも3人がバラバラになったときは"北"を目指せ」です。
3人はそれぞれ方位磁針を携えてひたすら北に向かって進んでいくことにしました。
するとあら不思議。地球は丸いのでみんなある一点で合流することになるんですね。
それが「北極」です。シロクマさんがいるところです。北極は待ち合わせに使えるので渋谷のハチ公みたいにシロクマの銅像でも建てておくといいかもしれませんw
「北極」ってどうしてそんなにうまくできてるんでしょうか。わざわざ人間に道案内するために地球ができてるなんて考えにくいです。
その秘密はこちら。
地球が回ってることはみなさんご存知だとは思いますが、その回転にはもちろん軸があります。その軸の北半球側のことを「北極」と言うことにしてるんです。
地球の周りには磁場が取り巻いていてその磁場は地球の自転によって生み出されているので方位磁針も見事に北極をさし続けてくれるんです。
さて、ここまで説明するとだんだん北極星が夜空の中心にある理由も見えてくるのではないでしょうか。北極星は"たまたま"地軸のぴったり延長線上にあるんですね。
なので、たとえ地球がどんなに速く回っていたとしても北極星の真下には常に北極があります。そんなわけで北極星のある方角は常に北というわけです。
そして、常に真北にあり続けるということは北極星の位置が動かないということも意味しています。私たちの住む街やそこから見える海や山が動いてないのに北極星だけ動いてたら「北極移動したの?!」てことになってしまいますからw(背理法キリッ)
宇宙空間に広がる星々が、実際には動いていなくても地球の1日に1周する回転(自転)によってこのように動いてみえることから、この見かけの運動は「日周運動」と呼ばれています!
全ての星がある一点を中心にして回ってるなんて不思議な出来事も「地球が回ってる」、「地球には北がある」なんて当たり前のことの組み合わせで成り立っていたんですね~。
当たり前のことこそがこの世で最も不思議なことだと感じられるようになったらもう立派な科学者です。
そしてその当たり前を使いこなして方位磁針を作ったり、北極星を目印にしたり、赤道儀(またいつか説明します!)を開発したりすることこそ智慧というものです。
科学とは当たり前を観察する洞察力とシンプルなアイデアで成り立っているんです。
さて、長くなったのでこの続きの「年周運動」は次回にしたいと思います!
ありがとうございました('◇')ゞ
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